1年単位の変形労働時間制の途中退職の賃金清算

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1年単位の変形労働時間制の途中退職の賃金清算

労働基準法 第32条の4の2

使用者が、対象期間中の前条の規定により労働させた期間が当該対象期間より短い労働者について、当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(第33条又は第36条第1項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない。

【1年単位の変形労働時間制の途中退職の賃金清算】の解説です

1年単位の変形労働時間制を採用していて、従業員が1年の対象期間の途中で退職したときは、残業手当を清算して支払わないといけません。

どういうこと?

1年単位の変形労働時間制を採用する場合は、1年間を平均して労働時間が1週40時間以内になるように、出勤日と労働時間を設定します。

そうだね。

そして、通常は1週40時間をギリギリ超えないように設定して、各日ごとの所定労働時間を超えた時間に対して、1.25倍の時間外勤務手当(残業手当)を支払っている会社が一般的です。

1週40時間を超えた時間については、残業手当を支払わないといけないからね。

そして、例えば、4月1日から始まる1年間を対象期間として、6月から8月は繁忙期で週48時間、12月から2月は閑散期で週32時間、他の月は週40時間で設定していたとします。

なんとなく分かってきた。

4月に入社して8月に退職した従業員がいたとすると、6月から8月までは週48時間で勤務をしていたのに、時間外勤務手当が支払われていません。

所定労働時間を超えてないから。

ですので、対象期間の途中で退職したときは、週40時間を超えて働いた時間については、残業手当を清算して支払うことが定められています。

清算はどうやってするの?

4月1日に入社して、8月31日に退職したとすると、この間の暦日は153日になります。週40時間で勤務したとすると総労働時間は、874.3時間(=40/7×153日)になります。

難しくなってきた。

そして、仮に、この間の所定労働時間の合計が974.3時間だったとすると、100時間の差があったことになります。

それが所定労働時間内だけれども、1週40時間を超えて働いていた時間ということだ。

はい。当時は所定労働時間内の勤務のため、時間外勤務手当(残業手当)を支払っていなかったけれども、1週40時間を基準にして清算し直すと、それだけ余計に勤務していたとことになります。

途中で退職したらややこしいね。反対に6月から8月が閑散期で週32時間で勤務していたときは?

その場合は、1週40時間に満たない時間分を従業員から徴収、賃金を減額することはできません。

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